2018年6月2日土曜日

新十津川神社の傍にあるという人喰刀を沈めた底無し沼を探すべ


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今回は、以前紹介した更科源蔵編アイヌ伝説集から拾ったネタだべさ。

その「アイヌ伝説集」のP.152、「底なしの沼」の中にこんな記載がある。

~滝川の石狩川向い、新十津川町の橋本町から西徳富よりに玉置神社という神社があり、その傍にある沼は、昔、人喰刀(エペタム)を沈めた底なしの沼だといわれ、おそろしい沼(チホマト)ともいわれていた。人喰刀は宝物を納めておく箱に入れ~途中省略~箱を飛び出して人間に襲いかかり、今まで何でもなかった人が殺されたりするので、部落ではそれを石狩川にもって行って渕に沈めてみたり、山へ持って行って捨てたりしてみたが、直ぐに戻ってくるので、最後にこの沼に沈めたところ、それきり戻って来ないので、この沼にはそこがないのだろうといわれた。~(以上「アイヌ伝説集」P.152より引用)


最初にこれを読んだ時、他の伝説にもちょくちょく出てくるこの「人喰刀」というのも確かに恐ろしいけど、それよりも「底なしの沼」と呼ばれるその「沼」はいったい何処にあるんだべ?と、「沼」の方に興味を惹かれたんだべさ。


幸い、その新十津川の玉置神社(現在の新十津川神社)の場所はわかっていたので、ゴールデンウィークに現地に行ってみることにしたべさ。





5月に入ってすぐのよく晴れた日、昼過ぎに自宅を出発して国道275号を北上する。

国道のドライブはあんまり面白味が無いので、月形町に入ってから、月形町から雨竜町まで国道を一切使わずに北上するべ!其の1 其の2で書いた裏道に入る。



こんな景色や




こんな場所とか




こんな綺麗な場所があるので、やっぱり国道を走るより、こっちの裏道の方が面白い。

やっぱり裏道の方が楽しいべさ


裏道を北上し続けると、やがて新十津川町で国道451号にぶつかるので、右折。

国道451号にぶつかるので右折


そこから少し行くと左手に商店があり、その先に新十津川神社がある。

商店の先が新十津川神社



新十津川神社正面。

神社正面


更科源蔵氏編の「アイヌ伝説集」に拠れば、「チホマト」と呼ばれるその底なし沼「神社の傍」にあるらしいのだが、神社の左手を見ても「沼」は無いし

神社の向かって左側



右手を見ても、「沼」らしきものは見えない…。

神社の向かって右側
と言うか、出発前にGoogleの航空写真を覗いてみたのだが、「新十津川神社の傍」つまり「すぐ横」には、沼はおろか、貯水池の類も無いようなのだ。さて、困ったべさ…。





沼が見当たらない以上は、いつまでもここにいても仕方ないので、取り敢えず新十津川神社周辺の「直近の沼」巡りをしてみることに。



まずは「新十津川神社」近辺のGoogle航空写真をば。

今回は地図より航空写真の方がわかりやすい(この辺りの地図はスカスカで、沼の表示も無い個所があった)と思ったので、そっちを載せてみることにしたべさ。

  




まずはGoogle航空写真で事前に位置を確認しておいた、神社の北側の国道275号を越えた場所にある「沼」へ向かう。

これが上の航空写真の青いポイント、「近くの沼 其の1」。沼は北と南の2つに分かれていて、これは北側の沼。

2つある内の北側の沼

これが隣り合わせにある、南側の沼。

こちらが南側の沼
近くで観察してみると、これは「沼」ではなくて、どうみても「農業用貯水池」だべさ。



底なし沼はここじゃないな、ということで、今度は新十津川神社の北西側にある沼に行ってみることにするべ。事前に航空写真で確認した限りでは、こちらも恐らく農業用貯水池かと思われるのだが、念のために…。これが航空写真の「近くの沼 其の2」

人工的だべさ
里見北7線沿いにあるこの沼を近くで観察してみたのだが…。ああ、四角いな。こりゃ完全に沼じゃなくて貯水池だべさ。



ということで、今度は最後の望みを託して、新十津川神社の南側、北2号線沿いにある沼まで足を延ばすことに。航空写真の「近くの沼 其の3」

北2号線の脇に沼がある


木々の隙間から沼が…。う~ん、これは「沼」というよりは「湿地」に近いかも…。

「湿地」と言った方が正しいかも
これじゃ「人喰刀」は沈められそうもないべさ…。


それでも、林の奥の方にはこんな「沼」らしき個所もあるのだが

「沼」というか「水溜まり」?
全体的に観察してみると、やっぱりここは「底なし沼」とは言えないみたいだべさ。





という訳で、新十津川神社の周辺にあるめぼしい「沼」に足を運んでみたのだが、結局「人喰刀を沈めた底なし沼」らしきものは発見できなかったべさ。

そもそも上にも書いた様に、「アイヌ伝説集」に拠れば「底なし沼」「新十津川神社の傍」にある(あった?)ということだから、足を延ばして見た3箇所の沼が「神社の傍」とも考えにくい。

これはやっぱり、嘗ては新十津川神社のすぐ横か裏手にあった「底なし沼」が、農地造成などで埋められてしまった可能性が高いんでないべか?



(続く)  (前回)



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