2018年2月10日土曜日

新冠川上流の滝にあるという地獄穴を探すべ


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前回、2017年9月の下旬に、鵡川で地獄穴オマンルパロを探すべ富川でオマンルパロの痕跡を探すべで鵡川と富川の地獄穴探しをやったのだが、その後、次に行ってみたい日高地方の地獄穴を調べている内に、新冠川上流の滝壺に地獄穴が存在するという伝説があることを知った。

以前入手した、あの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著「(9)新冠川上流の滝つぼ」の個所に

-日高国新冠川の上流に一つの滝があり、そこを支配している神はカワウソで、昔はそこに豊漁を祈願する人々の祭壇があった。この滝の滝つぼは地の底まで続いていて、地獄穴になっているとも伝えられている。以下省略-(P.19より引用)

と書かれてあるのを読んだからだ。


更にネットの方でも調べていく内に、新冠川に「フタップの滝」という滝があることがわかった。

かなり調べてみたのだが、ネットではこの「フタップの滝」以外に、新冠川の滝の情報は見つけることが出来なかったので、恐らくこの「フタップの滝」こそが、カワウソの神が支配し、おまけに滝壺に地獄穴まであるという場所でないんだべか? それにしても「カワウソの神様」って何だべ?


ということで、2017年11月も末のある日、そのカワウソの神が支配していて地獄穴まであると思われる、新冠川上流の「フタップの滝」に出向いてみることにしたのである。



これが地図。

  

フタップの滝(オレンジマーク)をセンターに移動させて、画面左下の+ボタンを押すと拡大できる。ところでフタップの滝のある場所は、正確には地理院地図で「スタップ川」と表記されている「新冠川に流れ込む沢」にあるらしいのだが、「スタップ川」にある滝なのにどうして滝の名前は「フタップの滝」なんだべか?




参考までにフタップの滝のピンポイント航空写真も載せておこう。

  

フタップの滝(オレンジマーク)を中心に移動させてから、左下の+ボタンを押せば、もう少し拡大できる。







家を出て国道234号を南下し、早来町で道道10号へ左折。厚真町で道道59号に入り、平取町で国道237号に出るので、そこを左折。沙流川に架かる橋を渡ったらすぐに、右折して道道80号に入る。途中で道道71号に合流するので、そのまま71号を進んで行くと、御影橋をわたってすぐに泉の集落の分岐に出る。


泉の集落の分岐の左側がフタップの滝方面へ行く道だ。地図ポイント1

道道71号から泉の分岐を左へ。地図ポイント1




その分岐を左折して暫く直進すると、また分岐が現れる。地図ポイント2

また分岐。地図ポイント2


この分岐の右手、「岩清水アブカシャンベ線」がフタップの滝へ行く道だ。

右手の「岩清水アブカシャンベ線」に入る



まっすぐ進んで行くと、やがて舗装からダートに変わる。地図ポイント3

砂利道に変わる。地図ポイント3


国有林内を走る。

ここは国有林内らしい


新冠川に架かる橋を渡る。

橋を渡って対岸へ


上流に新冠ダムがある川なので、川幅は広い。

新冠川



ダム放流の予告表示版を過ぎてさらに進む。

放流予告表示



地理院地図で見ると「スタップ川」と表示されている沢を渡ればすぐに、フタップの滝の直近の駐車スペースがある場所に到着。どうやらフタップの滝と書かれた表示板は朽ち果ててしまった様で、今では柱だけが残っている。地図ポイント4

駐車スペース。地図ポイント4



このオレンジで囲んだ所が、駐車スペースからフタップの滝へと向かう
降り口らしい。ゴミが捨てられてるべさ…。

滝への降り口



とは言っても踏み跡も何もないので、まずは滝の方には向かわずに、左手の方向を探検してみるべ。

まずは滝の反対側を探検


斜面を歩いて行くと、何か構造物がある。

何かある


水の管みたいだべさ。

太いパイプがある


その下には建物が見える。どうやら北電の揚水発電所らしい。

北電の発電所?


「水の管」が気になったので、上に登ってみることに。すると、さっき車で来た道の先の方に出た。で、これがそこで撮った揚水発電用の水流管のと思われる写真。

「水の管」はこんな感じ


林道を歩いてさっきの駐車スペースまで戻り、さっきの「降り口」から今度こそフタップの滝へ向かう。

手摺の残骸だべか?


薄っすらと雪が積もった急な斜面を、スタップ川方向に向かって下って行く。お!何か見えたべさ。

何か見える



ゴーゴーと鳴る水の音を頼りに、そちらの方向に向かって進んで行くのだが、急傾斜で枯葉の上に雪も積もっているから、滑りやすいことこの上ない。恐る恐る下って行くと、木々の間から漸くフタップの滝が姿を現した。

フタップの滝だべさ



場所を移動して別角度からの写真。「地獄穴」があるらしい滝壺が見えるべさ。

滝壺が見える
何せ、木と木の隙間からしか撮影できないもんだから、肝心の滝壺に「地獄穴」があるのかどうかも、ここからではよくわからない…。



何とかもっと近づこうとするのだが、上にも書いた様に急傾斜+枯葉と雪で滑りやすいこと甚だしい

とにかく滑る


それでも、何とか滝の全容が撮れるこの辺りまでは近づくことができた。

やっぱり木が邪魔だべさ
正確なことはわからないが、見た限りでは落差は優に20m以上はありそうな感じだべさ。



どうしても「地獄穴」があるらしい滝壺まで近づきたいのだが、この辺が限界。

滝つぼの写真。これ以上行くと滝つぼに滑り落ちるべさ
ここから下は更に傾斜がきつくなっており、滝壺に滑り落ちてしまう危険性が高い為、下まで降りることは断念した。ここから見る限り「地獄穴」がありそうな雰囲気は無いけど、この寒空に滑り落ちて滝壺にハマったら「リアル地獄」だべな…。


滝の下流側はこんな感じ。

下流側


下に降りられない以上はここにいても仕方ないので、移動して別アングルから滝の上部も撮ってみた。

滝の上部


滝の上の斜面も急だ。

ほとんど崖だべさ…


ということで、滝壺に降りることはできなかったものの、一通りフタップの滝の探検も終わったので、駐車スペースまで登って帰路に就くことにするべ。

もう夕方近い
ここから家までの道のりが、また長いんだべさ…。







そんな訳で、今回も「地獄穴」を見つけることは出来なかった。枯葉の上に雪が載っていなければ、木を掴みながらでも、もっと滝壺の近くまで行けたかもしれないので、次は、雪が降る前に来ることにしよう。



(続く)  (前回)


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2018年2月1日木曜日

富川で「オマンルパロ」の痕跡を探すべ


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2017年9月の下旬に、鵡川で地獄穴オマンルパロを探すべで、鵡川まで「地獄穴」探しに出向いたのだが、その近くの日高町富川にも「地獄穴」の伝説があることは下調べ済みだったので、ろくな発見も出来なかった「鵡川のオマンルパロ」があったと思われる場所を後にして、真っすぐ富川の現場に向かうことにした。

で、その富川の地獄穴なのだが、石器人が以前入手したあの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著「(3)富川のオマンルパロ」として概要が記載されている。

それに拠れば、富川町(現在は日高町)は沙流川の河口にある町で、富川駅のやや下手の右岸の崖に洞穴があって、オマンルパロ(奥へ行く道の入り口)と呼ばれている、とのこと。

そのオマンルパロに纏わるエピソードとして、以下の様な話が載っている。


-昔、妻に先立たれて寂しく暮らしていた男が海岸へ仕事に行くと、亡くなった妻とそっくりの女が昆布を採っていた。女は男が近づいていくと逃げ出したので、あとを追って行くと、女は小さな穴の中に入ってしまったので、男も続いてその穴に入った。真っ暗な穴の中をしばらく行くと明るくなって、部落が見え、そこに女の父母と思われる二人の老人がいた。逃げて行った女にその老婆の指が触れると女の姿は消えてしまい、近所の人々が集まって葬儀を始めた。ぼんやりとその様子を見ていた男は、急に気が付いて戻ろうとすると、いつの間にか葬儀の供物が懐の中に入っていたので、そのまま持ち帰ってその話をしたという。これは地獄穴だということである。-(「あの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著」P.14より概略を引用)



沙流川河口の右岸にある崖ということで、位置の特定は簡単だった。Googleの地図だとここら辺になる。

  

↑上側のオレンジマークが「鵡川のオマンルパロ」で、下側のオレンジマークが「富川のオマンルパロ」があったと思われる場所である。



航空写真の方が見やすいと思うので、そちらも載せておこう。

  

↑画面左下の+ボタンで拡大出来る。



それでは、実際に現地に行った時の記録を載せておくことにしよう。





まずは道道10号を目指して春日橋を渡る。これは橋の上から、さっきまで居た「鵡川のオマンルパロ」方向を見た写真。

橋の上から鵡川のオマンルパロを見る


道道10号を横断して農道を走り、国道235号との交差点に出る。

国道235豪との交差点


そのまま国道を横断して直進し、一本目の道路を左折。

ここを左折


しばらく進むとL字路にぶち当たるので道なりに左折。

L字路を道なりに左へ


その後すぐに標識の富川方向に右折。

標識の富川方向に右折


道の両側は牧場になっていて景色がいい。

両サイドは牧場


山際の畑部分には蝦夷鹿も居た。

牛かと思ったら鹿だったべさ



富川高校まで来たら

右手に富川高校


左に急カーブしながら下りて行くと

カーブしながら下りて行く



日高本線の踏切があるので渡り

踏切を渡る


沙流川方向へ右折。

沙流川に向かって右折


そこから何度か曲がると、沙流川の右岸堤防上の道に行き当たる。

沙流川堤防上の道に出る


堤防の上の道を河口に向かって進む。

河口に向かうべ


工事標識のある辺りに車を停めて

ここに車を停め



海岸に向かって斜めに下る道を徒歩で進む。

左分岐を海岸に向かって歩く


下って行くと、日高本線によって尾根から切り離された「独立した崖」みたいなものが見えますな。

崖?



その崖を正面から見るとこうだ。

地獄穴は無さそうだ…
この崖には地獄穴は無いな…。



海岸まで出てみるべ。

海岸まで歩く


河口の「右岸」にあったということだからこっちの方向なんだべな。

河口の右岸方向を見る


あの「独立した崖」以外に崖らしきものは確認できない…。

穴の開いてそうな崖は見当たらない


「独立した崖」の海岸側にも「穴」は開いてないべさ…。

こっち側にも穴は無い…
崖はここだけだし、「地獄穴」らしいものは見えないのだが…



おっ!?これは?…

おや?コレは…



もしかしてこれが「地獄穴」

穴は穴だが排水用だべさ
な訳もなく、周囲を見回しても崖や穴は見当たらない。



先に出てきた北海道における津波に関するアイヌの口碑伝説と記録に拠れば、日高地方の海岸は過去に津波被害に遭っているらしいから、沙流川の右岸に存在したと伝えられるこの地獄穴「富川のオマンルパロ」も、どうやら過去の津波被害と日高本線の工事に拠って消滅してしまった可能性が高いんでないべか?

という訳で、仕方なくここで「富川のオマンルパロ」の探検を終了することになった。





今回の探検でも「地獄穴」らしきものは見つけることが出来なかったのだが、懲りずに今度は新冠川上流にある滝の滝壺にあるらしい「地獄穴」の探検に行ってみようと思う。


(続く)  (前回)


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