2017年5月4日木曜日
再び秘境に逆戻り? 崖山(きりぎしやま)
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昭和52年に初版が発行された北海道撮影社(懐かしい!「北の山脈(やまなみ)」を思い出すべさ…)発行の「北海道の山と谷」という登山ガイドの本が家にある。
石器人が所持しているのは昭和58年の改訂版なのだが、道央の山は無論のこと、道南、積丹、増毛、夕張・芦別山塊や、大雪、知床、日高山脈、それに天塩岳、利尻山などの道北の山まで網羅されていて、読んでいるだけでも非常に面白かった。
で、その本の中でも石器人が特に興味を惹かれたのが、芦別岳の北尾根続きにある「崖山(きりぎしやま:標高1,060m)」という名前の山だった。
本に拠れば、「恐竜の背を思わせる特異な形状の岩稜(P.146より引用)」の山のようで、「数多くの未踏壁が残されている(P.146より引用)」らしい。石器人には岩登りの趣味は無いのだが、この「恐竜の背を思わせる~」というくだりが妄想を掻き立てられて気に入ってしまった。
当時は登山道は無く、本に載っていた4つのルートも、いずれも沢詰め、藪漕ぎ必須、或いは残雪期限定の難コースのようで、「一般向けの山ではない」という一文もどことなくそそられる。
これが崖山の地図。
こちらが崖山の航空写真だ。
画面左下の+(拡大)ボタンを押せば、崖山から南に延びる尾根(岩稜)に岩が露出している様子が確認できる。
ところで、「北海道の山と谷」に記載されているルートは、以下の4つである(P.146より引用)。
①芦別岳北尾根から惣芦別川本流の右股沢上流に降りて、岩稜の南端に取り付くコース。
②惣芦別川沿いの林道から、沢詰めして岩稜南端に取り付くコース。
③サキペンペツ川沿いの林道から「小さな本沢(おそらく白面沢のことかと思われる)」の源頭まで遡行し、尾根を乗り越えて惣芦別川左股沢の上流に降り、そこから遡上して岩稜の北端に取り付くコース。
④御茶々岳の北にある極楽平から尾根伝いに中天狗岳を経由して、崖山の山頂に至るコースで、本には「残雪期のみのルート」とある。
当時、地形図と照らし合わせながらどのルートがいいのか色々と想像してみたのだが、①のコースについては、一旦芦別岳の北尾根まで登ってからからのコースということで、体力的、時間的に相当きついコースになりそうだ。
これは③のサキペンペツ川沿いのコースにも言えて、こちらも距離が長くかなりきつそうなコースだと思われる。なんといっても一旦登った尾根からまた降りなければならないのがつらそうだ。
④のコースについても、極楽平まで登ってからが始まりとなる為、残雪期であっても相当きついコースだろう。
この4つのコースの中で、アプローチの距離などを考慮すると、②の惣芦別川沿いの林道から、沢詰めして岩稜南端に取り付くコースが、体力的・時間的に一番無難なルートに思われる。
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などと妄想していたのだが、その後どうやらアプローチが改善されたらしく、「日帰り登山も可能になった」という情報も知ったので、「いつか行ってみるべ」と思っていた。
ところが!である。
そうは思いながらも、日々の暮らしに追われて中々行く機会も掴めないまま過ごしているうちに、いつの間にやら、なんと崖山一帯が高山植物保護の為に入山禁止となってしまったのだ!
その経緯については、空知森林管理署の「崖山高山植物保護林における入山制限の取組み」というページで詳しく解説されているのだが、それに拠ると、芦別-三笠間の国道開通以後、日帰り登山が可能となり登山者が急増して、現地の希少な高山植物が荒らされた(大量盗掘もあったらしい。不届き者めが!)ための措置のようだ。
現在では、応募者を募って抽選で当選した者だけが参加できる「モニター登山」という行事だけが、崖山に行ける唯一の方法らしい。
ということで、「いや~、入山禁止になる前に登ってみればよかったべさ」と今更後悔しても手遅れでした、という残念なお話である。
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追記。
崖山についてネットで検索する際は、ただ「崖山」で検索しただけではなかなか関連する情報が出てこない。「崖山」+「きりぎしやま」と、ひらがな表記も一緒に入力して検索してやれば、崖山の登山記録のあるサイトなどがヒットするようだ。
(続く) (前回)
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