2018年1月25日木曜日

鵡川で地獄穴「オマンルパロ」を探すべ


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前回登別漁港近くにあるという地獄穴「アフンルパロ」を探すべで、ひとまず道南方面の「地獄穴」探検は終了して、今度は日高方面にある「地獄穴」の探検を行うことにした。

で、その日高地方「地獄穴」なのだが、以前入手したあの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著の中では、「(10)鵡川の洞窟」という項目で鵡川の「地獄穴」が紹介されているのだけれど、その詳細な位置がわからない。

そこでネットで検索してみたところ、北海道立地質研究所の 髙清水康博氏に拠る「北海道における津波に関するアイヌの口碑伝説と記録」という、津波とアイヌ伝説に関する文献を公開しているサイト(sakuya.ed.shizuoka.ac.jpというところなのだが、トップページからは入れないので、上記の表題で検索して直接PDFのページに行くしかない)が見つかった。

そして、そのページの中段に載っていた地図のお陰で、鵡川(この場合は河川の名称)が道道983号に沿い始める辺りの地点にオマンルパロ(あの世の入り口)があるらしいことがわかったのだ。「sakuya.ed.shizuoka.ac.jp」の管理人様、北海道立地質研究所の 髙清水康博様、大変参考になりました。ありがとうこざいました。


これがGoogleの地図。

  

↑上記のサイトの地図と突き合わせると、多分ここら辺になる筈だべさ。最初に表示される状態では拡大し過ぎなので、画面左下のマイナスボタンで調整して欲しい。




そんな訳でおおよその位置も分かったことだし、現地の様子を探ってみるべく、2017年9月下旬のある日、ボロ車で鵡川に向かうことにした。





まずは国道234号を南下して、早来町で道道10号に左折。厚真町を越えてからはほぼ真っすぐに鵡川方向に向かって走り、道道983号との交差点を左折して、春日橋方向へ進む。

道道983号を東へ進む




豊城を過ぎた辺りで、緩い左カーブが見えてくるとオマンルパロは近いと思われる。

左カーブの手前地点
左手から続く山が道道で切れる形の地形だ。



カーブの手前の左側に入る道に、車を置けるスペースがあるので、そこに駐車。

左手に入る道にある駐車スペース


鵡川町が整備している遊歩道「豊城ガンケコース」の入り口らしい。

豊城ガンケコースの看板


その「豊城ガンケコース」だが、入り口はこんな感じで歩道の踏み跡が山の中に続いている。

踏み跡


さて、車をここに置いたら徒歩でオマンルパロの在処を探してみよう。これが左カーブの山側部分の法面。山はちょうど道道で切れて終わりになっている。

左手の山が終わる個所


法面の端に来る。

法面の端



法面の端を越えると崖が現れるのだが、上の方に穴みたいな個所が。

穴らしき個所が…


拡大してみよう。

ただの窪みかも…
穴の様でもあるが、ただの窪みの様な感じもする。崖の上の方にあるから、よくわからんな…。



更に進むと、穴(窪み?)の全体像が見えてくる。

穴の全体像が…


拡大してみるべ。

うーん…


角度を変えてもう一枚。

これは…
…これはやっぱり穴じゃなくて、ただの窪みみたいだべさ。



近寄って確認したいのだが、どうやら立ち入り禁止の様で、棘付き鉄線が張られているから無理だべさ。

トゲトゲ鉄線


その先の崖には穴らしき個所は無い。

もう穴は無いべさ
崖部分はこれでおしまいで、他に穴らしき個所は確認出来なかった。

実は、上記の「北海道における津波に関するアイヌの口碑伝説と記録」に拠れば、「過去の津波と富内線の鉄道工事のために元々の洞窟のほとんどは崩されてしまった」ということなので、本来の地獄穴は多分現存していない可能性が高いべな、とは薄々思っていたのだが、現地に来てみたら案の定その通りだったべさ。残念…。



ということで、今回もろくな発見が出来ずに鵡川の地獄穴「オマンルパロ」の探検は終わったのだが、この場所にも一つだけ気になる点がある。

リフルカのアフンルパルでもそうだったのだが、地獄穴が有ったことは間違いないと思われる場所の近くを道道983号が通っているので、この場所の交通事故の発生状況がどうしても気になってしまうのだ…。





ところで今回も事前のリサーチで、この「鵡川のオマンルパロ」の他にも、日高町の富川の海岸に「地獄穴」伝説があるらしいことが分かっていたので、ボロ車でこのまま富川まで向かうことにした。その詳細は次回で。



(続く)  (前回)


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2018年1月6日土曜日

更科源蔵氏編の「アイヌ伝説集」が面白いべさ


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以前、中古本で手に入れた山田秀三氏著北海道の地名が非常に面白かったので、他にアイヌ民族と北海道に関する書籍は何か無いか、と探していたのだが、また面白そうな本を見つけた。

それがコレ。

更科源蔵氏編「アイヌ伝説集」

ネットの古本屋で見つけた、みやま書房発行の更科源蔵氏編「アイヌ伝説集」で、値段は1,400円だった。全10冊ある、「アイヌ関係著作集」シリーズの第1巻なのだが、読んでみたらこれがまあ面白い。


道南(渡島・桧山・胆振・日高地方)で144編、道央(支笏洞爺・石狩・空知・後志地方)で60編、道東(十勝・釧路根室・阿寒地方)で103編、道北(上川大雪・留萌宗谷・網走地方)で74編の伝説が収録されているのだが、神様やら怪物やら怪人やら野盗やらの話が数多く出てきて、読んでいて飽きることがない。

目次で面白そうな話を選んで読んでいるので、まだ全部の話に目を通した訳ではないのだが、面白かった話を以下に幾つか載せてみよう。





「鵡川の神沼」道南(胆振地方)P.57より一部引用。

鵡川の海岸にカムイ・ト(神沼)という沼があり、昔ここにサクソモイップという魔物が居たため、その魔物の悪臭で草木も生えず、人間がその風下を通りかかると身体が腫れたり髪が抜け落ちたりした、という話で、日高よりの海岸にその沼があるそうだから、一度現地を訪れてみたい。



「カッケンの狐神」道南(胆振地方)P.64より一部引用。

穂別町カッケン(栄下)部落が凶作に見舞われた時に、カッケン崖にいる狐の神様が若い男の姿をして食べ物をくれたので、部落の人間は餓死から免れた。ここは今、隧道が通っているが、その隧道の上の崖に立岩があり、それが若い男に姿を変えて現れた狐神だということだ。その隧道がどこにあるのかよくわからないのだが、いつか現地に行ってみたい場所だ。



「穂別川奥の神山」(日高地方)P.70より一部引用。

穂別川の水源にタプコプ(ポッコリ突き出た山)という嶮しく切り立った山があり、昔から神々が集まって遊ぶところだと言い伝えられている。こちらも地形図で場所を特定して、いつか行ってみたい場所の一つだ。



「伏古の腐敗沼」(十勝地方)P.184より一部引用。

帯広の伏古にカムイトー呼ばれる沼があるが、ここは元はチオマトー(腐敗した沼)と呼ばれており、大正5年に神社を建ててからカムイトー(神の沼)と呼ぶようになった。その沼の由来だが、昔日高染退アイヌと十勝アイヌとの間に婦女掠奪戦(すごい話ですな…)が起き、敗れた日高勢がこの沼にたどり着いたのだが、十勝勢に包囲されてしまったので、全員沼に飛び込んで溺死してしまった。その死体が腐り、それ以来この沼をチオマトー(腐敗した沼)と呼ぶ様になった、とのこと。ネットで検索すると「チョマトー(チョマテヨ!を連想するべさ)」という呼び方もあるようだが、ここは場所が分かったので、雪が消えたら是非行ってみたい。



「夕張奥の悪者部落」(空知地方)P.159より一部引用。

実にインパクトのあるタイトルだが、夕張の奥にこの世であらゆる悪いことをした、性質の悪い者ばかりを集めたトムンチ・コタンという部落があったらしい。現在住んでいる人にとってはエラい迷惑な言い伝えだべなと思うが、こちらもいつか行ってみたい場所だ。



「江別の意地悪爺」(石狩地方)P.150より一部引用。

こちらも中々のインパクトがあるタイトルだが、昔、千歳から江別付近に、よく人に難癖をつけては他人の物を掠め取るという、とんでもない爺さんがいたらしい。爺さんが居た詳しい地名はわからないのだが、伝説にまでなっていることから、相当な暴れ迷惑ジジイだったと思われる。



「人間の育たない土地」(十勝地方)P.190より一部引用。

音更川沿いに、オチリシという二つの山が向かい合った場所があり、神様が降りてくるところなので、本来は良い場所の筈が、良すぎて人間が住むのには向かず部落が作れない土地だった、ということだ。超強力なパワースポットということらしく、カタカムナ的に言うと「イヤシロチ」の様な場所なのかもしれない。場所を特定して、是非行ってみたい。





この様に、ざっと選んだだけでもこれだけの面白そうな話が載っている。

上記以外にも各地の「地獄穴」の話などまだまだ面白い話があって、それぞれ現地に行ってこの目で拝んでみたくなるのだが、この本に掲載されている話の土地を全て巡るのは、石器人が生きている間には無理かもしれない…。

この更科源蔵氏編の「アイヌ伝説集」については、これからも可能な限り掲載されている伝説について紹介したいと思っている。



(続く)  (前回)



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2018年1月3日水曜日

山田秀三氏著の「北海道の地名」が面白いから古本を手に入れたべさ


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謹賀新年。

以前石器人が、北海道曹達株式会社の経営者でアイヌ語地名研究家でもあった、故・山田秀三氏の著の「北海道の地名」(北海道新聞社刊)という本を道立図書館で見つけたことは、あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- 知里真志保・山田秀三著で書いた。

で、これがその図書館から借りた「北海道の地名」だ。

道立図書館から借りた「北海道の地名」


この「北海道の地名」は、地名毎に解説を載せている、所謂「辞書タイプ」の本なのだが、読んで行くとこれがなかなか面白い。石狩、天塩、北見、根室、千島!、釧路、十勝、日高、胆振、渡島、後志の11の地方別にセクションが分かれているので、興味のある地方のページを開いて、50音順に記載されている地名を見て行く度に、興味深い地名とその由来が見つかるからだ。

あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- 知里真志保・山田秀三著でも触れた「地獄穴 アフン・ル・バル」についての記述の他にも、ピラミッド山のある野花南近くの「空知大滝」や占冠近くの「赤岩青厳峡」、屈斜路湖畔の「アトサヌプリ」等々、読んでいるだけで行ってみたくなる地名がゴロゴロ出て来るのだ。


但し、非常に面白い本ではあることは間違いないのだが、借りた物なので2週間経てば返却しなければならず、赤線を引いたりチェックを付けることなど勿論出来ない。


更に、2017年の10月になってからのことなのだが、道立図書館の閲覧室の天井の一部が剥がれ落ち(以前から老朽化してるべさ、とは思っていたのだが…)して「アスベスト飛散の恐れがある」だかの理由で、図書館は休館状態に入ってしまい、いつ再開されるかの目途も経たない状態なので、もう借りることもままならなくなってしまった…。


これはやっぱり、個人的にこの本を入手しておくしかないべさ、という訳で、ネットで古本漁りを始めたのである。





で、調べてみた結果、この「北海道の地名」は、現在でも新品で草風館刊行の物が入手できるらしいのだが、価格が税込み6,480円とかなり高い…。

必然的に、北海度新聞社版の古本しか選択肢がなくなるのだが、こちらの方はアマゾンで簡単に見つけることができた。

札幌の古書店が、マーケットプレイスに出品していた物なのだが、値段が税込みでも草風館版の新品の半額以下で買えるので、躊躇せずに注文することにした。


ということで、これが古本で手に入れた「北海道の地名」だ。

古本で手に入れた「北海道の地名」

帯は写真でわかるように擦り切れているのだが、本体の中身は書き込みなどもなく、割と程度はいい。





やっぱり自分の本だと、蛍光マーカーで塗ることも出来るし、傍線も自由に書き込めるから使い勝手がいい。

全部で586ページと、結構なボリュームがある本なので、一つ一つの地名の由来に感心しながら読んで行くとなかなかページが捗らないのだが、石器人が次に行ってみたくなる様な場所が山ほど載っているので、現在、発泡酒を飲みながらじっくり読み進めている真っ最中である。



(続く)  (前回)



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