2017年12月30日土曜日

登別漁港近くにあるという地獄穴「アフンルパロ」を探すべ


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前回、2017年の9月初めに現地に行った時の記事、登別のリフルカであの世の入口を探すべの最後の方にも書いた様に、登別の「地獄穴」リフルカアフンルパルだけではないことが事前の下調べで分っていたので、リフルカの探索が終わってから、もう一つの「地獄穴」があると言われている登別漁港近くの海岸に行ってみることにした。


その「地獄穴」「アフンルパロ」と呼ばれていて、登別漁港から車ですぐ近くまで行ける様だ。


これが地図。

  

↑左側のオレンジマークが「リフルカのアフンルパル」で、右側のオレンジマークが「登別漁港近くのアフンルパロ」。尚、登別漁港のど真ん中に登別市と白老町の境界があるので、「登別漁港近くのアフンルパロ」の所在地は白老町ということになるべさ。


地図よりGoogleの航空写真の方が現地での位置を掴みやすいので、こちらも載せることにした。

  

↑オレンジのマークがアフンルパロ。画面左下の+ボタンで拡大表示が出来る。





ということで、まずは登別漁港まで行ってみるべ。

リフルカのアフンルパルから国道36号に出て苫小牧方向に左折。登別駅前の信号を駅に向かって右折し、室蘭本線沿いに走る道路へ左折。少し行くと、右側に踏切を越えて登別漁港に続く道があるので、右折して踏切を渡る。すぐに海岸通と呼ばれる広めの道に突き当たるので、そこを左折。ちょっと進むと右手に漁港へ入る道が見えるので、そこを右折すれば登別漁港だ。



漁港からアフンルパロ方向を見た写真。「ここら辺」と書いた辺りに地獄穴が…。撮影方向の反対側、つまり撮影者のすぐ後ろには登別漁協の建物がある。航空写真のポイント1

登別漁港からアフンルパロ方面を望む



漁港沿いの道を崖が露出している海岸方向に走る。

漁港沿いの道



こんな感じの道を進んで行くと

崖が迫って来る



駐車場に出るので、ここに車を停める。航空写真のポイント2

駐車場 航空写真ポイント2



駐車場から徒歩で先に進む。左手はこんな感じの崖になっている。




草っ原の中の踏み跡を歩いて行く。

踏み跡を進む



この狭くなった個所を通り過ぎると

狭い…



崖を使ってロッククライミングの練習をしている人達がいた。軽く挨拶してその人たちの横を見たら、こんな看板が立っている。航空写真のポイント3

看板が…



何て書いてあるんだべ?

左側の看板
付近の地名の説明書きの様で、勿論アフンルパロについての説明もある。



こちらがアフンルパロだけの説明書きの看板。

ということだそうだ





で、その看板の横に穴らしきものが…

おお!看板の右に穴が



穴を正面から見る。

正面から



それでは入ってみるべ。中は人が立てる程度の高さはある。写真は入り口から向かって左側の洞穴壁面。

入り口から向かって左側の壁面



こちらは入り口から向かって右側の洞穴壁面。

入り口から向かって右側の壁面



そしてこれが正面。おやっ!?奥に続いているんだべか?

細い通路が奥に?



と思ったら、あっさり行き止まりだったべさ…。

行き止まり
流木の破片が積み上がり、洞穴の奥を塞いでいる。もしこの木っ端を取り除いたとしても、先に行くほど幅が狭くなっているので、人間が通るのは無理そうだ。先程の看板の説明に拠れば、「生きている人間は通れないが亡者はここを通れる」ということらしいのだが…。



石器人はジジイだけど未だ亡者にはなっていないから、仕方ないので洞内を観察してみることにするべ。まずは行き止まり部分の拡大写真なのだが、木っ端の下は砂みたいですな。

木っ端の下は砂?



天井部分の写真。平たい石の欠片を挟んで、高さを調節して巨大な石を載っけている様にも見えるけど、まあ偶然の産物なんだべな。

天井の石を支える部分



足元は砂だべさ。

足元の木っ端の下は砂
洞穴の中は狭いので、あっという間に観察終了。



地獄穴の中も見終わったので外に出るべ。

すぐ近くは海岸だべさ


いい景色だべさ。

漁港側を見る



さて、戻るとするかい。来た道を戻って駐車場を目指すべ。

引き返すべ



駐車場に戻って、ボロ車で登別漁港の道を走っていたらカモメが横断してきた。

呑気なもんだべさ





以上で、「登別漁港近くのアフンルパロ」の探検も終了した。石器人は鈍い所為か、「リフルカのアフンルパル」でも、この「登別漁港近くのアフンルパロ」でも、「地獄への入り口」を連想させられる様なおどろおどろしさは感じなかったのだが、直線距離にしておよそ2.5kmしか離れていない近さに、二つの「地獄穴」が存在するということは非常に興味深い。

近いと言えば、室蘭のハルカラモイという場所にも「地獄穴」が存在するらしいが、こちらは嶮しい場所にあるので、海上から眺めることしか出来ないらしい、というのが残念だ。


そんな訳で、取り敢えず胆振地方の地獄穴探検はこれで一旦終了して、次は鵡川町に存在するという地獄穴「オマンルパロ」に出向いてみようと思う。


(続く)  (前回)


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2017年12月2日土曜日

登別のリフルカで「あの世の入口」を探すべ


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以前あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- 知里真志保・山田秀三著」の中で紹介した山田秀三氏著「北海道の地名」に、所謂「地獄穴」についての興味深い記述がある。

第Ⅸ章胆振地方の「アフンルパル」の項目を読むと、「リフルカ」という場所に巨大な擂鉢型竪穴のアフンルパル(地獄の入口)があり、小径が螺旋状に底の方まで続いていて、悪い事があってはいけないから子供たちは近付けない処だった、と言われていた場所があるらしいのだ。

上記の「リフルカ」という場所についても「北海道の地名」「アフンルパル」のすぐ上の項目で説明されているのだが、登別市冨浦から南方向に海に向かって突き出している尾根の上にある高台のことらしく、「蘭法華(らんぽっけ)」と呼ばれる岬がすぐ近くにある場所だ。


この「小径が螺旋状に底まで続いている竪穴状の地獄穴」という記述に甚く興味を惹かれ、以前にも触れた小冊子あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- (知里真志保・山田秀三著)も引っ張り出して調べてみたところ、「三、登別のアフンルパル」の章に、解説と詳しい位置図、それに当時(昭和30年9月)撮影した写真や、現地を測量して作成した図面まで載っていたのだ!

それに拠れば、穴の上縁の長径は約30m 、短径が約22mで、底部の長径が約10m、短径約6m、深さは4m余り程らしく、写真では太い縄でも巻いた様に見える螺旋状の道がはっきり確認出来る。

今から60年以上前の調査記録なので、現在どうなっているのかはよくわからないのだが、最新の地図を見る限りでは、「アフンルパル」があるとされている場所には、国道36号が切り通しの状態で通っている様で、この遺跡の破壊状況が気になる。キウス周堤墓群の様に、道路に寸断されていなければいいのだが…。


これは是非現地まで行ってこの目で確かめなければ、ということで今年の9月の初めのよく晴れた或る日、登別まで出かけることにしたのである。



これが今回の地図。

  

↑画面左下の縮尺変更ボタン(+-)で見やすい大きさに変更可能。



今回ネットでもリフルカのアフンルパルの位置を調べてみたのだが、どうやら登別の市営墓地の近くにあるらしく、国道36号から市営墓地へ向かう道の右側法面の上端沿いに、遺跡に至る刈り分け道が整備されている様だ。



Googleの航空写真でも確認してみよう。

  

↑オレンジ色のマークの下側に擂鉢状のアフンルパルがあると思われるのだが、写真で見ると丁度その場所に国道が通っている。





で、苫小牧方面から国道36号を漫然と走っていたので、その市営墓地への入口をうっかり見過ごして通り過ぎてしまった。慌てて引き返して、苫小牧方面を向いて撮った国道36号から市営墓地への進入路の写真がこれである。

R&Eの看板がある横道へ曲がる
今回は国道を引き返したので左折したのだが、苫小牧方面から36号を走って来た場合は、右折することになる。



まっすぐ進むと市営墓地に出る。この進入路の右側法面上端に、遺跡まで続く刈り分け道がある筈なのだが…。

右側法面の上端辺りに刈り分け道がある筈



市営墓地の通路に車を停めて今来た進入路を逆に戻ると、すぐにアフンルパルへ続くと思われる刈り分け道の入口が見つかる。

アフンルパルへ続く刈り分け道の入口



入り口の拡大写真。

入り口



こんな感じの刈り分け道に入って行くと

刈り分け道に踏み入る



国道から市営墓地へ進入する道の法面上端に出る。手摺の右側が道路の法面。

市営墓地へ入る道路の法面上端



先に進むと右手に国道36号が見えて来る。ここからは左に曲がり、国道36号の法面の上を進む。

右に見えるのが国道36号



更に進んで行くと何やら看板らしき物が見える。

看板が見える



アフンルパルについて説明してありますな。

看板の説明書き

説明は分かったのだが、初めに紹介した様な「擂鉢状の竪穴型遺跡」がどこにも見当たらないべさ…



もしや通り過ぎたんだべか?と思い、今来た方向を振り返ったら

来た方向を振り返ると
向かって左側は国道でガッツリ削られているのだが、何やら擂鉢の名残りの様な形状にも見える。


もう少し戻って国道側をみた写真。

柵が擂鉢の縁かい?


更に戻って、擂鉢の縁の始まり部分?の近く。

残存する擂鉢の縁の始まり部分?
どうやら柵がそのまま「残存している擂鉢の縁」らしく、擂鉢型アフンルパルの中央部分は国道36号の開削によって、無残にも削られてしまっている様だ…。「キウス周堤墓群」でもそうだったが、本当に勿体ないことをするもんだべさ。




遺跡の現在の状態を図面で表すとこんな感じ。


アフンルパルの大半が国道の開削により消失してしまい非常に残念だったのだが、ともかく「地獄穴」の一部をこの目で拝むことが出来たのは幸いだった。



こんな感じで「リフルカのアフンルパル」の探検は終わったのだが、事前のリサーチでこの場所のすぐ近く、登別漁港の海岸にも「アフンルパロ」と呼ばれる地獄穴があるらしいことがわかったので、折角来たのだからそちらにも足を伸ばしてみることにした。その詳細については次回で…。





ところで一つだけ気になることがあるのだが、「地獄穴」のど真ん中を通っている国道36号のこの場所の交通事故発生比率は、やっぱり他の場所よりも高いんだべか?…。


(続く)  (前回)


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