2018年8月11日土曜日

アイヌ伝説集「伏古(帯広)の腐敗沼チヨマトウ」に行ってみるべ


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以前更科源蔵編「アイヌ伝説集」を読んだ時、その中に出てくる「伏古の腐敗沼」という項が非常に興味深く、いつか行ってみたいもんだと思っていた。


どんなことが書いてあるのか、少し引用させてもらうことにするべ。以下「アイヌ伝説集」P.184~185より抜粋して引用~

-伏古の腐敗沼-

帯広市の隣、伏古(現西帯広)にカムイトーという沼がある。もとこの沼はチオマトー(腐敗した沼)というのであったが~途中省略~昔、日高染退(しぶちゃり)アイヌと十勝アイヌとの間に、婦女掠奪戦(!)が起こった。
日高染退の軍勢は六十名で~途中省略~日高軍の勝利に帰そうとした。そのとき十勝の一人の預言者が火の神に祈りをあげて~途中省略~味方の士気を鼓舞したので、戦況はたちまち一変して十勝軍は日高軍を烈しく攻め立てた。
そのため六十人の日高勢はなだれをうって退去したが、空腹の為に退去も自由にならず、やっとチオマトーまでたどりついたところ、水鳥が沢山いたので、夢中になって腹を満たしているうちに、十勝軍の為にすっかり包囲されて、逃れる道を断たれてしまったので、皆沼の中に飛び込んで溺死してしまい、その屍体が腐ったので、それ以来チオマトーと呼ぶようになったという。~途中省略~(吉田巌「心の碑」。工藤梅次郎「アイヌの民話」。酒井章太郎「十勝史」) ~以上、引用終わり。



以上のような内容で、婦女掠奪戦というのも衝撃的だけど、60人もの日高染退軍勢が飛び込んで溺死した沼というのはいったいどんな沼なのか、是非この目で確かめたくなり、7月に、現地に行ってみることにしたんだべさ。

尚、現地の表記では、この地の名称が「チヨマトウ」となっているので、そちらの呼び方を尊重したく、このブログでも「チヨマトウ」という呼び方に統一しておくべさ。






「伏古の腐敗沼チヨマトウ」の現状


これが「伏古の腐敗沼チヨマトウ」の航空写真。

  


ネットで調べてみた結果、「チヨマトウ」は以前はもっと大きくて、現在「チョマトー公園」となっている辺りまで沼が広がっていたのだが、2004年から始まった、沼の為に迂回していた道路の直線化工事によって埋め立てられ、現在ある沼の部分だけが残っているだけらしい。





7月下旬のよく晴れた朝、石器時代の車に乗って自宅を出発。

岩見沢→桂沢で国道452号に乗り→道道152号へ右折→国道38号を右折して富良野方面へ→途中空知川を渡り学田から道道298号に出たら右折→布部で再び国道38号に合流→一気に新得町まで来たら道道75号へ左折→音更帯広ICで右折→帯広市内に入り、また国道38号に合流すれば、「チヨマトウ」はすぐそこだべさ。

西15丁目の左にサッポロドラッグストアのある交差点を左折すると、すぐ右手に「北門神社」が見える。この神社の敷地内に「チヨマトウ」がある筈なので、敷地の北側の保育園のある道路に進入し、神社敷地脇に車を停める。



車から降りて、徒歩で西5号通りに出て国道38号方向を向くと

神社敷地の北面の端、西5号線の歩道からチヨマトウを見る
↑歩道の柵の端から、チヨマトウのある神社境内に入って行けるみたいだったので





遠慮なく入らせてもらったべさ。

入ったべや




入ってすぐに慰霊碑が。

慰霊碑



裏側には説明が。

慰霊碑の裏側
説明を拡大





まずは右手に向かってみるべ。

右手に行く



木の隙間から、チヨマトウの濁った水面が見えるべさ。

チヨマトウの水面その1
チヨマトウの水面その2




こんな看板があったべさ。

看板



ここら辺りは、今までより水面がよく見える。

チヨマトウの水面その3




看板の先には「チヨマトウ神社」が。

チヨマトウ神社があるべさ




ここは北門神社本殿の横手になるのかな。

本殿の横辺り




「チヨマトウ神社」の正面に回って一礼し、「順序が前後しましたが、写真を撮らせて下さい」とお願いする。

写真を撮らせてください
チヨマトウ神社の由来だべさ




しかし草木がかなり繁ってて、沼の全容の写真は撮れないな、こりゃ。

チヨマトウの水面その4




何とか見通しの良さそうな場所を探すのだが

チヨマトウの水面その5 木と葉っぱが邪魔




やっぱりよく見えないべさ…。沼の北端部分。

チヨマトウの水面その6 やっぱり見難いな



いつの間にか沼の北端に出てしまったのだが、その手前のすぐ横(沼の東側)に「不動神社」もある。

沼の横(東側)にある不動神社



少し離れて沼の全容も撮ろうと試みるが、木の葉っぱが邪魔で、何が何だかわからん写真になったべさ。

殆ど見えない…


ということで、チヨマトウの周囲を一周してみたのだが、沼全体を見渡せる様な見通しのいい場所はなかったべさ。所々に垣間見える濁った水面は不気味な感じもしなくはないのだが、天気が良かった所為なのか、石器人に霊感が無い所為なのかはよくわからないけど、「60人の日高染退アイヌが身を投げた」という伝説から想起されるようなおどろおどろしさは感じられなかったべさ。

但し、道路直進化の工事中に「この場所から人骨が出た」という話をネットで見た憶えもあり(どこのサイトだったか忘れたべさ)、曰くがある場所なのは間違いない様なので、訪れる人は敬意を払った方がいいと思うべさ。

尚、沼の全容の写真を撮るなら、木々の葉っぱが落ち切る11月過ぎ辺りに来る方がいい様な気が…。




さて、「沼の北端=最初に入ってきた場所のすぐ近く」まで戻ってきたのだが、まだろくな沼の写真も撮れていないことに気が付き、もう一遍チヨマトウ神社付近まで行って「もう少し水面がよく見える場所はないのか?」と探してみるものの、全く見当たらなかったので、仕方なくこの辺で「チヨマトウ」とはおさらばすることにしたんだべさ。





腐敗沼「チヨマトウ」の撮影動画だんべ


動画も撮ってみたので、貼っておくべさ。

  





実は、今回の旅はこれだけで終わりではなく、アイヌ伝承のパワースポット音更のオチリシ?鈴蘭公園探訪の目的もあったので、車に戻って今度は音更町に向かって出発することにしたんだべさ。


※関連動画
YouTube「帯広の腐敗沼チヨマトウ


(続く)  (前回)



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