2018年10月23日火曜日

アイヌ伝説集の化け物の棲む沼「アンガリトー」とは何処にあるんだべ?


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久々の「アイヌ伝説集」の現場巡りの話だべさ。

更科源蔵編アイヌ伝説集の156ページに、次のような記載がある。

以下引用~

「アンガリトーの伝説」

千歳市長都沼のつづきにアンガリトーという沼がある。この沼は昔から化け物がいて、うっかり漁に出かけると舟をひっくり返されて溺死するから、この沼には行ってはいけないと言い伝えられている。以下省略~。

~引用終わり。



↑この化け物がいる「アンガリトー」という沼に甚く興味を惹かれたので、山田秀三著北海道の地名で、「アンガリトー」について調べてみたら、54ページの「祝梅川」「アンガリ沼」の項目に、以下のことが書いてあったべさ。

以下引用~

「祝梅川 しゅくばいがわ」「アンガリ沼」

千歳川の東支流になっているが、昔の形ではアンガリ沼に注いでいた川である。永田地名解は「シュクバイ。成長したる蕁麻」と書いた。shukup-ai(育った・イラクサ)と読んだものだが、よく分からない。
なおアンガリ沼は今はなくなって忘れられた沼であるが、永田地名解は「アンガリ・トー。鷲を捕る雪穴(の沼)。アイヌ雪を掘りて穴を作り、その中に潜居して鷲を捕る。其穴をアンと云ひ、作をカラ(注:kar)と云ふ。沼の沿岸に此穴を作る故に名くと云ふ」と書いた。

~引用終わり。


この「北海道の地名」の記述に拠れば、長沼町から千歳市にかけて、現在も細長く残っている「長都沼(おさつぬま)」の南方、つまり祝梅の辺りに、嘗ては化け物の棲む沼「アンガリトー」があったが、今はなくなってしまった、ということらしいべさ。





そんな訳で、化け物の棲む沼「アンガリトー」が現在は無くなってしまったことは残念だけど、その「アンガリトー」に続いていたという「長都沼」は未だ残っているので、一目拝んでおくべ、ということで現地に出向いてみたんだべさ。


こちらが、地図代わりのGoogle航空写真。

  

↑画面左下の+-ボタンで、拡大・縮小ができる。




幻の沼「アンガリトー」に続いていたという「長都沼(おさつぬま)」に行ってみるべ

8月初めのよく晴れたある日、ボロ車に乗って自宅を出発し、長沼町から「長沼第2広域農道」を南下して、千歳方面に向かう。「長沼第2広域農道」は、道道226号との交点で道道967号に変わるが、そのまま南下を続ける。

大学橋の手前にある「大学橋記念公園」のすぐ先の左手に、「長都沼(おさつぬま)」へ続く枝道があるので、そこを左折。

側道へ左折



しばらく走ると、右手に野鳥観察用?の櫓と駐車場が見えてくるので、そこに車を停めるべさ。

櫓と駐車場がある




駐車場はこんな感じだべさ。

駐車場


こんな看板がある。看板の向こう側が「長都沼」がらしいべさ。

看板
看板の説明書き拡大その1
看板の説明書き拡大その2
↑嘗てはこの辺りは広大な湿地帯だったらしいけど、排水路設置や客土などの改良工事で農地に生まれ変わった、ということらしいべさ。




これが野鳥観察用?の櫓。

野鳥観察?櫓



かなり年季が入ってるけど、上ってみるかい。

踏み抜きそうな外観…



上はなかなか快適そうだべさ。

櫓の中


テーブルの中央が長沼町と千歳市との境界らしいべさ。

テーブルが境界



こちらが、櫓から見た「長都沼」の写真だべさ。

「長都沼」右手
「長都沼」正面
「長都沼」左手
↑沼というか、川の幅が広がった感じと言えばいいだろうか?



櫓の下にはこんな物が…。

巨大なポンプ
↑ポンプらしいけど、潜水艇みたいだべさ。





ということで、化け物の棲む沼「アンガリトー」に続いていたという「長都沼」を拝んで来たんだけど、やっぱり嘗て「アンガリトー」があったとされる千歳市祝梅にも行ってみないとな、と思っていたので、後日行ってみたんだべさ。




嘗て化け物の棲む沼「アンガリトー」があったとされる千歳市の祝梅(しゅくばい)に行ってみたべさ

山田秀三著北海道の地名の、54ページにある「祝梅川」「アンガリ沼」の項目に、次のような図面が載っている。

以下引用~
 
山田秀三著「北海道の地名」の、54ページにある「祝梅川」「アンガリ沼」の項目にある図面
~引用終わり。


この図面に拠れば、長都沼、馬追沼、アンガリトーは続いた大沼であったらしく、「長都沼」はもとより、馬追から祝梅(しゅくばい)の辺り一帯にかけても大きな沼が広がっていたようだべさ。

図面を見る限り、化け物の棲む沼「アンガリトー」祝梅の辺りにあったみたいなので、「長都沼」から「アンガリトー」があったと思われる千歳市祝梅に向かって、車で走ってみることにするべ。


という訳で9月下旬のある日、「長都沼」及び千歳市祝梅方面に向かって、ボロ車に乗って自宅を出発したんだべさ。

「大学橋記念公園」から国道337号へ続く「長都沼」沿いのバイパス道路を南下して行くと、左右には広大な農地が広がっている。

バイパスの右手方面
バイパスの左手方面
↑嘗てはこの辺りも広大な沼だったんだべか?



国道337号に出たら右折して千歳市街方面に向かい、川南通との交差点を左折して、陸上自衛隊東千歳駐屯地のある祝梅方面へ向かう。

祝梅へ向かう



祝梅川の手前は広い農地になっている。

祝梅川手前左手
祝梅川手前右手
↑この辺り一帯も広大な沼だったんだべか?



祝梅川に架かる第2祝梅橋の辺り。その先にある道央圏連絡道路が見えるべさ。

祝梅川と道央圏連絡道路




その祝梅川と道央圏連絡道路を越えると、陸上自衛隊東千歳駐屯地に行き当たる。この辺りから一段高い地形になっているので、恐らくここが「アンガリトーの沼の縁」だったのでは?

東千歳駐屯地=嘗ての沼の縁?


ということで、前述した様に山田秀三著北海道の地名の54ページにある図面を参考に、嘗ては祝梅に存在したらしい化け物の棲む沼「アンガリトー」の名残りを探して、「長都沼」から祝梅にかけて走ってみたんだけど、やっぱり祝梅川手前の広大な農地辺りが「アンガリトー」の名残りだべか?という気がするべさ。



YouTubeに動画をアップしたので貼り付けとくべ

今回、化け物の棲む沼「アンガリトー」を探して、「長都沼」から千歳市祝梅方面に出向いて撮影した動画をYouTubeにアップしたので、このブログにも貼り付けておくべ。

 








そんな訳で、以上が「アイヌ伝説集」に載っていた化け物の棲む沼「アンガリトー」を探しに行ったというお話だべさ。


(続く)  (前回)



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