2018年2月1日木曜日

富川で「オマンルパロ」の痕跡を探すべ


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2017年9月の下旬に、鵡川で地獄穴オマンルパロを探すべで、鵡川まで「地獄穴」探しに出向いたのだが、その近くの日高町富川にも「地獄穴」の伝説があることは下調べ済みだったので、ろくな発見も出来なかった「鵡川のオマンルパロ」があったと思われる場所を後にして、真っすぐ富川の現場に向かうことにした。

で、その富川の地獄穴なのだが、石器人が以前入手したあの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著「(3)富川のオマンルパロ」として概要が記載されている。

それに拠れば、富川町(現在は日高町)は沙流川の河口にある町で、富川駅のやや下手の右岸の崖に洞穴があって、オマンルパロ(奥へ行く道の入り口)と呼ばれている、とのこと。

そのオマンルパロに纏わるエピソードとして、以下の様な話が載っている。


-昔、妻に先立たれて寂しく暮らしていた男が海岸へ仕事に行くと、亡くなった妻とそっくりの女が昆布を採っていた。女は男が近づいていくと逃げ出したので、あとを追って行くと、女は小さな穴の中に入ってしまったので、男も続いてその穴に入った。真っ暗な穴の中をしばらく行くと明るくなって、部落が見え、そこに女の父母と思われる二人の老人がいた。逃げて行った女にその老婆の指が触れると女の姿は消えてしまい、近所の人々が集まって葬儀を始めた。ぼんやりとその様子を見ていた男は、急に気が付いて戻ろうとすると、いつの間にか葬儀の供物が懐の中に入っていたので、そのまま持ち帰ってその話をしたという。これは地獄穴だということである。-(「あの世の入口 -いわゆる地獄穴について-知里真志保・山田秀三著」P.14より概略を引用)



沙流川河口の右岸にある崖ということで、位置の特定は簡単だった。Googleの地図だとここら辺になる。

  

↑上側のオレンジマークが「鵡川のオマンルパロ」で、下側のオレンジマークが「富川のオマンルパロ」があったと思われる場所である。



航空写真の方が見やすいと思うので、そちらも載せておこう。

  

↑画面左下の+ボタンで拡大出来る。



それでは、実際に現地に行った時の記録を載せておくことにしよう。





まずは道道10号を目指して春日橋を渡る。これは橋の上から、さっきまで居た「鵡川のオマンルパロ」方向を見た写真。

橋の上から鵡川のオマンルパロを見る


道道10号を横断して農道を走り、国道235号との交差点に出る。

国道235豪との交差点


そのまま国道を横断して直進し、一本目の道路を左折。

ここを左折


しばらく進むとL字路にぶち当たるので道なりに左折。

L字路を道なりに左へ


その後すぐに標識の富川方向に右折。

標識の富川方向に右折


道の両側は牧場になっていて景色がいい。

両サイドは牧場


山際の畑部分には蝦夷鹿も居た。

牛かと思ったら鹿だったべさ



富川高校まで来たら

右手に富川高校


左に急カーブしながら下りて行くと

カーブしながら下りて行く



日高本線の踏切があるので渡り

踏切を渡る


沙流川方向へ右折。

沙流川に向かって右折


そこから何度か曲がると、沙流川の右岸堤防上の道に行き当たる。

沙流川堤防上の道に出る


堤防の上の道を河口に向かって進む。

河口に向かうべ


工事標識のある辺りに車を停めて

ここに車を停め



海岸に向かって斜めに下る道を徒歩で進む。

左分岐を海岸に向かって歩く


下って行くと、日高本線によって尾根から切り離された「独立した崖」みたいなものが見えますな。

崖?



その崖を正面から見るとこうだ。

地獄穴は無さそうだ…
この崖には地獄穴は無いな…。



海岸まで出てみるべ。

海岸まで歩く


河口の「右岸」にあったということだからこっちの方向なんだべな。

河口の右岸方向を見る


あの「独立した崖」以外に崖らしきものは確認できない…。

穴の開いてそうな崖は見当たらない


「独立した崖」の海岸側にも「穴」は開いてないべさ…。

こっち側にも穴は無い…
崖はここだけだし、「地獄穴」らしいものは見えないのだが…



おっ!?これは?…

おや?コレは…



もしかしてこれが「地獄穴」

穴は穴だが排水用だべさ
な訳もなく、周囲を見回しても崖や穴は見当たらない。



先に出てきた北海道における津波に関するアイヌの口碑伝説と記録に拠れば、日高地方の海岸は過去に津波被害に遭っているらしいから、沙流川の右岸に存在したと伝えられるこの地獄穴「富川のオマンルパロ」も、どうやら過去の津波被害と日高本線の工事に拠って消滅してしまった可能性が高いんでないべか?

という訳で、仕方なくここで「富川のオマンルパロ」の探検を終了することになった。





今回の探検でも「地獄穴」らしきものは見つけることが出来なかったのだが、懲りずに今度は新冠川上流にある滝の滝壺にあるらしい「地獄穴」の探検に行ってみようと思う。


(続く)  (前回)


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