2017年12月2日土曜日

登別のリフルカで「あの世の入口」を探すべ


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以前あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- 知里真志保・山田秀三著」の中で紹介した山田秀三氏著「北海道の地名」に、所謂「地獄穴」についての興味深い記述がある。

第Ⅸ章胆振地方の「アフンルパル」の項目を読むと、「リフルカ」という場所に巨大な擂鉢型竪穴のアフンルパル(地獄の入口)があり、小径が螺旋状に底の方まで続いていて、悪い事があってはいけないから子供たちは近付けない処だった、と言われていた場所があるらしいのだ。

上記の「リフルカ」という場所についても「北海道の地名」「アフンルパル」のすぐ上の項目で説明されているのだが、登別市冨浦から南方向に海に向かって突き出している尾根の上にある高台のことらしく、「蘭法華(らんぽっけ)」と呼ばれる岬がすぐ近くにある場所だ。


この「小径が螺旋状に底まで続いている竪穴状の地獄穴」という記述に甚く興味を惹かれ、以前にも触れた小冊子あの世の入口 -いわゆる地獄穴について- (知里真志保・山田秀三著)も引っ張り出して調べてみたところ、「三、登別のアフンルパル」の章に、解説と詳しい位置図、それに当時(昭和30年9月)撮影した写真や、現地を測量して作成した図面まで載っていたのだ!

それに拠れば、穴の上縁の長径は約30m 、短径が約22mで、底部の長径が約10m、短径約6m、深さは4m余り程らしく、写真では太い縄でも巻いた様に見える螺旋状の道がはっきり確認出来る。

今から60年以上前の調査記録なので、現在どうなっているのかはよくわからないのだが、最新の地図を見る限りでは、「アフンルパル」があるとされている場所には、国道36号が切り通しの状態で通っている様で、この遺跡の破壊状況が気になる。キウス周堤墓群の様に、道路に寸断されていなければいいのだが…。


これは是非現地まで行ってこの目で確かめなければ、ということで今年の9月の初めのよく晴れた或る日、登別まで出かけることにしたのである。



これが今回の地図。

  

↑画面左下の縮尺変更ボタン(+-)で見やすい大きさに変更可能。



今回ネットでもリフルカのアフンルパルの位置を調べてみたのだが、どうやら登別の市営墓地の近くにあるらしく、国道36号から市営墓地へ向かう道の右側法面の上端沿いに、遺跡に至る刈り分け道が整備されている様だ。



Googleの航空写真でも確認してみよう。

  

↑オレンジ色のマークの下側に擂鉢状のアフンルパルがあると思われるのだが、写真で見ると丁度その場所に国道が通っている。





で、苫小牧方面から国道36号を漫然と走っていたので、その市営墓地への入口をうっかり見過ごして通り過ぎてしまった。慌てて引き返して、苫小牧方面を向いて撮った国道36号から市営墓地への進入路の写真がこれである。

R&Eの看板がある横道へ曲がる
今回は国道を引き返したので左折したのだが、苫小牧方面から36号を走って来た場合は、右折することになる。



まっすぐ進むと市営墓地に出る。この進入路の右側法面上端に、遺跡まで続く刈り分け道がある筈なのだが…。

右側法面の上端辺りに刈り分け道がある筈



市営墓地の通路に車を停めて今来た進入路を逆に戻ると、すぐにアフンルパルへ続くと思われる刈り分け道の入口が見つかる。

アフンルパルへ続く刈り分け道の入口



入り口の拡大写真。

入り口



こんな感じの刈り分け道に入って行くと

刈り分け道に踏み入る



国道から市営墓地へ進入する道の法面上端に出る。手摺の右側が道路の法面。

市営墓地へ入る道路の法面上端



先に進むと右手に国道36号が見えて来る。ここからは左に曲がり、国道36号の法面の上を進む。

右に見えるのが国道36号



更に進んで行くと何やら看板らしき物が見える。

看板が見える



アフンルパルについて説明してありますな。

看板の説明書き

説明は分かったのだが、初めに紹介した様な「擂鉢状の竪穴型遺跡」がどこにも見当たらないべさ…



もしや通り過ぎたんだべか?と思い、今来た方向を振り返ったら

来た方向を振り返ると
向かって左側は国道でガッツリ削られているのだが、何やら擂鉢の名残りの様な形状にも見える。


もう少し戻って国道側をみた写真。

柵が擂鉢の縁かい?


更に戻って、擂鉢の縁の始まり部分?の近く。

残存する擂鉢の縁の始まり部分?
どうやら柵がそのまま「残存している擂鉢の縁」らしく、擂鉢型アフンルパルの中央部分は国道36号の開削によって、無残にも削られてしまっている様だ…。「キウス周堤墓群」でもそうだったが、本当に勿体ないことをするもんだべさ。




遺跡の現在の状態を図面で表すとこんな感じ。


アフンルパルの大半が国道の開削により消失してしまい非常に残念だったのだが、ともかく「地獄穴」の一部をこの目で拝むことが出来たのは幸いだった。



こんな感じで「リフルカのアフンルパル」の探検は終わったのだが、事前のリサーチでこの場所のすぐ近く、登別漁港の海岸にも「アフンルパロ」と呼ばれる地獄穴があるらしいことがわかったので、折角来たのだからそちらにも足を伸ばしてみることにした。その詳細については次回で…。





ところで一つだけ気になることがあるのだが、「地獄穴」のど真ん中を通っている国道36号のこの場所の交通事故発生比率は、やっぱり他の場所よりも高いんだべか?…。


(続く)  (前回)


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